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ホスト・ホストクラブからの取り立てトラブル

【ホストクラブとは】

男性従業員(ホスト)が女性接待をするための社交飲食店(ホストクラブ)を指し、法律的には風俗営業法第2条の定める風俗営業のうち接待飲食等営業の2号営業の社交飲食店に該当します。

基本的なサービスは、女性客と飲食をともにしながらの歓談、カラオケなどをします。一般的に料金は非常に高額になりますが、いわゆる性的サービスは許されていません。

【ホストクラブの支払いシステム(売掛金制度)】

上記のように、ホストクラブとは「男性ホストが女性客に対して会話などを提供して楽しませることによって対価を得る職業」といえます。

男性が女性を楽しませなければならないので、自然と男性従業員であるホストも外見も話術も魅力的な男性が多く集まります。

ここまでだと、男性版キャバクラ、というだけかもしれませんが、キャバクラと決定的に異なるのはお金の徴収方法です。

ホストクラブでは「売掛金によるお金の取り立て」が一般的です。

具体的にはお店(ホストクラブ)からの請求をホストが建て替えて、サービスを受けた女性客がホスト本人に支払う方法です。

キャバクラの場合、キャバ嬢が男性客からお金を取り立てるという行為はプライベートならありえますが、キャバクラ内という観点からはありえないことです。

ホストクラブの場合ホスト自身が女性客から取り立てなければならないので、どうしても取り立てによるトラブルが続出します。

【ホスト又はホストクラブによる取り立てトラブル】

キャバクラ勤務女性にとって男性客は「お金を支払ってくれればよく、好きになることはない存在」であるのと同様、ホストも女性客を「お金の支払い具合によって、扱い方を変える存在」であるのは間違いありません。

ホストクラブはキャバクラと違って後払い制が原則であるため、取り立てによるトラブルが頻繁に起きています。

最初、ホストは女性客を凄く大事に扱って、それに気を良くした女性客がリピーターになりお金をどんどん使うようになります。しかし、女性客もお金が無限にあるわけではないので徐々に支払いが滞っていきます。

こうなると、ホストと女性客が会っても、ホストはお金の取り立ての話ばかりするようになり、女性は「もう少しだけ待って」と追い詰められていきます。

次項はホスト又はホストクラブによるによる取り立てトラブルで具体的に作成者(司法書士)のところに相談があった事例を紹介します。

【ホスト又はホストクラブによる取り立てトラブルの具体的事例】

例1 脅迫、恐喝と言えるメールが送られてきたり、電話が掛かってくる

ホストにとっては「金払いの悪い女性客」はもはや用済みです。

ヤミ金や架空請求業者のように有り金全部を取ることはありませんが、女性客はお金が払えなくなって逃げているので、支払い能力を遥かに超えて請求している点や嫌がらせを暗に示して請求してくる姿はヤミ金、架空請求業者となんら変わりはありません。

例2 支払わない場合は家族から取り立てる、と脅された

ホストは女性客と仲良くなっている間に様々な個人情報を聞き出そうとします。

現在、非常に重要になっている個人情報ですが、女性客もホストと仲良くなりたいので実家の電話番号や住所を簡単に教えてしまいます。

ホストが実家の情報を聞きたい理由は「女性客の支払いが悪くなったときに脅すため」に聞いているだけです。

女性客にとって家族にホスト遊びをしているという事実は知られたくないので、散々逃げ回っていた女性客もホストからこういった連絡が来ると、自らホストに許しを請う連絡をしてしまい、以後、ホストからの無理な請求に苦しむことになります。

例3 取り立て屋を使った取り立て行為

ホストはこのままでは女性客から取り立てるのが難しいと判断すると、「貴方のお金の取り立ては取り立て屋に頼むことにした」という連絡をしたり、実際に第三者のホストクラブの法務担当が取り立て行為をしたりしてきます。

彼等は、自分達の権限を正当化して「支払わない貴方が悪い」と言ってきますが、専門家から見ると、明らかに違法取り立てに該当する事案が多いのが事実です。

例4 法律知識をふりかざすホスト、取り立て屋

ホストは徐々に支払いが悪くなっていく女性客に以下のようなことを言って支払わせようとします。

  • 「自分は法律家の知り合いがいるけど、お金を払わない人には□□なことまでできるって聞いた」
  • 「取り立て屋に依頼するのは違法ではない」
  • 「払わない場合は裁判なしで強制執行できる」
  • 「取り立て屋に依頼する額も費用として上乗せできる」
  • 「ホストクラブに通っていたことがばれたら自己破産できない」

など、法に無知な女性客に対し、違法行為を正当化するような言動が増えていきます。

また、これは実際にあった案件で、警察が法に無知なところが情けないのですが、取り立て屋が自宅に押し寄せてきて、女性客が危険を感じ警察を呼んだことがありました。

取り立て屋が警察に堂々と説明すると、なんと警察は女性客に「使ったものは払わないとダメだよ」旨の言葉を残し去っていった案件もあります。失礼ながら、制服警官も、どのような行為が違法行為にあたるか勉強して欲しいと思った案件でした。

専門家からみると、ホストや取り立て屋の主張する行為はほとんどが違法行為の可能性が高いのが現状です。

例5 高い利息を請求するホスト

ホストによる取り立てトラブルでは関係ないと思っていた利息に関するトラブルもありました。

高利貸しのような利息を請求するホストも多く存在します。

方法としては、やはり女性客の法の無知を利用して「○日までに支払わないと利息が50%プラスされちゃうよ」と脅して支払いを促したり、「本当だったら利息として50%プラスするんだけど○○ちゃんだから特別に払わなくていいよ」などと、法定利息を遥かに超える利息を暗に提示して(実際に高金利を取られた被害者は会ったことはありませんが)支払いを促してきます。

【ホスト又はホストクラブによる取り立てトラブルの具体的事例まとめ】

ホストの世界というものは、完全実力主義が原則です。給与から待遇まで全てが実力で決まります。入店1年でも実力、実績次第で通常では考えられないお金を手に入れられます。

しかもホストクラブに勤務するホストは「イケメン、おしゃれ、話が上手い」などの好条件が揃っていて、そのホスト達は全員が「もっと上に行ってやる」という気持ちを持った野心家揃いです。

当然、少しばかりの無茶もしてしまいがちになってしまい、お金を取り立てるためなら手段を選ばなくなってしまいます。

【ホスト又はホストクラブによる取り立てトラブルの被害に遭う女性】

ホスト又はホストクラブによる取り立てトラブルの被害に遭う可能性の高い女性は作成者(司法書士)の経験上からは圧倒的にソープ、デリヘル、キャバクラなどの風俗店に勤務している、又は勤務していた女性です。

実際に、ホストクラブに通うことになったきっかけを伺うと、口を揃えて「(風俗仲間の)友達に誘われて行ったらはまってしまった」と言うので、風俗店勤務女性は仲のいい友人に誘われた場合でも注意をしておくに限ります。

そして、ホスト遊びに掛かる費用は非常に高額で1ヶ月で100万円を超えるケースは珍しくありません。普通のOLが捻出できる金額ではない、ということです。もっとも貯金を崩したり借金したりしながらホスト遊びをする女性もいます。

一つだけ言えることは、ホスト遊びは非常にお金が掛かるため、軽い気持ちで手を出した結果、悲惨な結末を迎えることが多い、ということです。

【ホスト又はホストクラブによる取り立てトラブルの解決方法】

説明してきた通り、ホストにとって女性客はお金以外の何物でもなく、支払いが悪くなったらすぐに、女性客の法に無知な部分を利用して違法な取り立て行為を行ってきます。

女性客にとっては、どの部分が違法であるか判断できないばかりでなく、ホスト自身、又はホストクラブ、取り立て屋等も非常に強気に取り立て行為を行ってきて、警察はほとんど無意味な存在で、個人での解決はもはや不可能と考えられます。

やはり、専門家に依頼をして代理人として

  • もう支払わない
  • 分割して支払う
  • 二度と取り立て行為を行わない
  • 二度と故意の接触行為をしない

等の部分を強調して主張してもらったり、書面化したりした方が、長年の人生を考えると非常に安全です。

誰にも相談できず、一人でお悩みの方、ぜひご相談ください!


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【ホストトラブル番外編@ホストに支払った金銭の返還請求は可能か?】

これは、女性から直接の相談はないのですが、以前、和解した男性ホストから寄せられた質問ですので、作成者(司法書士)の私見ではありますがお答えします。

女性客がホストに対して支払った金銭は原則的に、ホストクラブで定められた料金表にしたがって支払っていると思います。

ホストから女性客に請求する金額は確かに高額になることが普通ですが、それはホストクラブの料金表に定められている以上、正当な請求です。

一時期多かったぼったくりバーなどの料金とは異なり、女性客もホストクラブが定めた料金表に納得して遊びに来たので、ホストへの返還請求を認めるのは難しいと思います。

ただし、次のいずれかの場合、女性客が事実を立証することで返還請求が認められる可能性はあります。

  • ホストが実際のサービス以上のことを加えて請求してきて支払ってしまった場合(架空請求に該当します)
  • 1日に数百万円という日常的にありえない金額を請求してきた場合、公序良俗違反により無効になる可能性があります。
    ただし、裁判所がホストクラブのシャンパンタワー注文による100万円を超える請求を認めた判例も存在します。

【ホストトラブル番外編A ホストを結婚詐欺で逮捕することは可能か?】

これも、女性ではなく、和解した男性ホストから相談を受けましたので記載します。

あくまでも個人的な意見ですが、ホストトラブルに結婚詐欺を当てはめると
「ホストが女性客に結婚の約束をして、売上としてのお金を貢がせる」
という行為が違法性を浴びているか?ということになると思います。

さすがに、ホストクラブでの付き合いということを考えると刑事事件での逮捕は無理だと思います。女性客はホストクラブに通っているわけですので、お金が掛かるのはしょうがない、という考え方からすれば妥当な結論です。

ただし、「お金を返せ」という民事訴訟なら可能性はあります。この場合、証拠が必要で単にメールなどで「結婚しよう」という証拠では弱い気がします。

結婚式場の予約表、婚約指輪、ハネムーンの予約紙など、具体的な証拠が必要になると思いますが、これは担当する弁護士、司法書士によって考え方が異なると思います。

なお、余談ですが、ホストが女性客と結婚するのは珍しくなく、作成者(司法書士)がホストによる取り立てトラブルを通じて知り合ったホストクラブのオーナーは「私も昔はホストをやっていました。今の妻はその時のお客様でした。ホストは結果的に女性客の誰かと結婚する確率が高いですよ。」と話していました。


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司法書士

古城健一

東京司法書士会
登録番号
東京 第4931号
簡裁代理認定
第 801050号


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