【示談書・和解書・合意書を取得する目的】
デリヘルの本番行為トラブルなど風俗店でのトラブルが起こった場合で法律家に依頼する目的は「相手方からの請求に対して、法律家が代理人として間に入り、依頼者を守りつつ、最終的に示談書、和解書、合意書を交わすこと」です。
この示談書・和解書・合意書を作成することで、以後その争いに関して問題が再燃しないように、しっかり防御することができます。
風俗店でのトラブルの内容が深刻であればあるほど、示談書・和解書・合意書は重要性を増します。のちの生活を守るためにも嫌な争いが二度と起こらないようにするためにも非常に重要なものになります。
各書面呼び名は異なりますが、法的効果は同じです。どの書面も争いのある風俗店側・風俗嬢側と互いに譲歩して一定のルールを定めて書面化して最後に署名・押印することで効力が発生します。
風俗店とのトラブルも最終的に風俗店側・風俗嬢側と示談書、和解書、合意書を交わすことを目的としますが、トラブルを終結させるために、お互いの意見を出し合って、今後トラブルが再燃しないような内容を記載します。
【風俗店でトラブルを起こした際の示談書・和解書・合意書の内容】
風俗店とのトラブルを起こした際、具体的に、示談書、和解書、合意書に記載しておくべきことというのは、どういった内容になるのでしょうか?押さえておくべき要点を説明します。
示談・和解・合意の内容を簡潔に正確に、そしてのちのトラブルを予想しながら記載しなければ、示談書・和解書・合意書を作成した後に、「これも足せばよかった」「これでは不十分だから訴えられてしまう」ということになっても、取り返しがつきません。
不備のない示談書・和解書・合意書は、法律家に依頼をして法律家に代理人として交渉してもらうことをおすすめします。
- 書面の題名ですが、依頼者も風俗店側も、もう二度と接触をしたくないのが本音でしょうから「接触禁止の合意書」が最も相応しい題名になります。
- 当事者の名前は前文に記します。この際に、当事者の名前は複数回表示されるので、事件を起こした当事者 甲野太郎(仮名)を「甲」、相手方女性 当事者 乙野花子(仮名)を「乙」とすると非常に簡潔で読みやすくなります。
- また、示談書・和解書・合意書を作成するきっかけとなった争いを客観的に起算しておきます。具体的には5W(いつ、どこで、なにが、誰に、なぜ)2H(どうやって、いくらで)を記載する必要があります。
この時、問題になるのが、相手方女性の名前です。
女性本人と和解するときは素直に教えてもらえるのですが、風俗店側と和解するときは、まず、本名を公表してくることはありませんので、人物の特定性に問題が生じる、ということになります。
それは依頼者側にも言えることです。
風俗店とのトラブルを起こした場合、通常、依頼者の氏名、住所等の個人情報は風俗店側に知れ渡っているものですが、やはり、これ以上の開示は望ましくない、と考える方が大半で「できれば合意書には自分の氏名はしょうがないが、住所は記載したくない。」と思っているようです。
この問題は依頼者が法律家に代理人契約を依頼した場合、示談書・和解書・合意書に依頼者の氏名は記載しますが、住所は記載しません。当事者欄には代理人としての法律家の氏名、住所を記載しますので、依頼者にとって、「個人情報を知られることはない」という望ましい結果が生じると思います。
また、重要な部分として、損害の内容に対して、代理人を含めた当事者が話し合ってどのように結論づけたかの「示談・和解・合意の内容」があります。
- どのような条件(おそらく損害賠償の金額が焦点になるでしょう)で
- いつまでに
- 分割は可能か
- 代理人を通じての支払いか
- 手渡しか振込か
等を決めることになると思います。
そして、仮に分割払いの時に、支払いを承諾した者が期限までにお金を支払わなかった場合など、後日、トラブルが再発しないように、その後の事も含めて記載しておくことを心がけます。
例えば、「本件争いに対して、男性当事者は女性当事者に対して金○○円を支払う。当該支払いが済んだ場合、両者の間に債権債務は一切存在しないものとする。」という文章です。
大切なのは後半の部分です。我々、法律家の間では「清算条項」と呼ばれています。
この「両者の間に債権債務は一切存在しないものとする。」という文章が存在することによって、仮に、相手方当事者が当初、複数回の恐喝を狙っていたような悪人だったとしても、この文章があることによって請求意義を失わせます。
ただし、一つだけ例外があります。
これは後遺障害と呼ばれるもので、この場合は示談書・和解書・合意書に定めていても相手方当事者は一定の要件を立証することによって、再度の損害賠償請求をすることが可能です。
ただし、詳しくは省きますが、この要件を満たすにはかなり難しい立証が必要で、仮にこのように再度請求が可能な案件は当初から、訴訟に発展するような複雑な案件であることが一般的です。
【示談書・和解書・合意書が無効になる場合】
せっかく、相手方と和解・合意・示談が成立しても、内容が無効なら、その書面はただの紙切れで、法的になんの意味も持ちません。
なお、示談内容が下記のような事項に該当する場合には、示談そのものが無効または取り消しとなる場合があります。
法律家による和解が望ましい理由として、このような無効、取り消しにならない書面を作成できる能力を持つ者だから、というものです。
- @内容が公序良俗に違反する場合(民法上の強行規定に違反する場合)
例:麻薬を売って得た利益で支払う、麻薬を買いたいから和解金を○円にする、等 - A内容が詐欺・強迫による場合
例:風俗店従業員に「100万円支払わないと、お前の人生めちゃくちゃにしてやる!」と脅されて仕方なく書かされた示談書・和解書・合意書等です。法律家が代理契約した場合はありえません。法律家による和解が望ましい理由の一つです。 - B当事者同士の示談・和解・合意でない場合
例:男性当事者が風俗店の一従業員と和解した場合。この場合は風俗店の一従業員には店舗を代表する権限も女性当事者を代理する権限も持ちません。なお、後で女性従業員が承諾をすれば追認効果が発生し、有効になる可能性はあります。
誰にも相談できず、一人でお悩みの方、ぜひご相談ください!